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うつでパニックになります。
【症例】躁うつ病(狂躁)で暴力・自傷衝動があった30歳女性
患者情報
30歳・女性/身長150cm・体重45kg
初診:2007年1月16日(佐賀県より母親と来院)
発症の経過と家族歴
5年以上前より心身の疲労感が徐々に増し、精神面の不安定さが出現。父親がうつ病の後自殺したことがあり、以後精神的ストレスが強くなった。結婚後に拒食や過食を経験。ここ1か月ほど特に状態が悪化し、激しい焦燥・破壊行為(物を壊す、自傷)・大声で叫ぶ・窓を開けて「殺せ」と叫ぶなどの狂躁に近い症状が出現。精神科薬の副作用に悩み、薬のコントロールも難しい状態であった。
主訴と現症
生きているだけで焦る、不安・パニック
感情のコントロール不能、暴れる・自傷行為あり
音に過敏、時に現実感の喪失(自己の存在がわからない感覚)
強い疲労、日中寝込むことがある
冷え症、顔手足のむくみ、食欲低下
便秘(7日以上)、尿の色が濃い、動悸、悪夢、睡眠断続
舌淡紅、苔黄膩、舌下瘀血、脈浮緊
初診時の状況と方針説明
来院時は感情が高ぶり、とりとめなく話す場面と突然黙る場面が混在。まず本人の訴えを聞いた上で、母親を交え家庭での様子も確認。神経科薬の副作用や効果不充分のため漢方治療を希望され、エキス剤での試行を提案(効果不十分なら煎じ薬へ切り替え)。本人と家族の同意を得て治療を開始した。
治療と経過
エキス剤開始→躁状態が強く、やや増強が必要と判断し煎じ薬へ移行。
煎じ薬初服の夜、母親から「ぐっすり眠れた」と連絡あり。
服薬1週間:叫ぶ・暴れる・自傷・喚くといった激烈な行動は出現せず、泣いたりけんかすることもなくなった。睡眠はまだ断続する日もあるが安定方向。便秘は継続。
服薬2週間:精神状態はさらに落ち着き、自転車で外出できるようになる。以前の落ち着いた様子が戻りつつある。
服薬3か月:便通改善、気力・日常生活の安定が著明に回復。段階的に調合を調整して服薬量を減らしながら経過観察。
治療の結果と考察
漢方治療により、激しい狂躁行為や自傷衝動が短期間で沈静化し、睡眠・情緒・社会機能(外出・日常行為)が回復しました。神経科薬の副作用で困っていたため、漢方で症状の基調を安定させることができた点が重要です。根がまじめで頑張り屋のため、安定後は仕事にも復帰しています。
気力がなく不眠です。
患者情報
25歳・女性
3年前から不眠と朝起きられない状態が続き、学校にも行けなくなりました。顔や全身に浮腫があり、動く気力もなくなっていました。
生理は初潮の頃から不順で、出血量は少なく、生理痛もなし。現在も同様の状態でした。
体質としては冷え性でクーラーが苦手。靴下を履いて寝る一方、暖房は熱がこもる感じで苦手。スポーツをしても当日は元気でも翌日はぐったり疲れるとのこと。
主な症状
強い疲労感、朝起きるのが大変(起床後1~2時間はボーッとする)
仕事後は気力がなく、食欲もない
食後に強い眠気
全身の無力感とむくみ
異常な口渇(水分を取るが冷たいものはNG)
手掌・足底が熱く、冷たいものを当てたい
胸のつかえ、イライラ、のぼせ、目の充血・乾燥
舌:やや紅、舌尖紅、苔薄黄
脈:浮弦無力
平成15年11月25日:漢方処方開始
12月16日:内服1週間で「朝の目覚めがよい。体調も良くなって明るい気分」と報告
2ヶ月の服用で症状は大きく改善し、その後3年間、再発なし
朝の起きにくさや強い疲労感、むくみ、精神的な不調もなく、元気に過ごされています。