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帝王切開術後に下腹部に圧痛があります。
40歳 女性 162cm・54kg
9年前の出産時、帝王切開後に縫合不全と化膿を起こした。
6年前には腹水と癒着による再手術を受け、その後から子宮の裏に2つの偽嚢腫が生じ、婦人科で経過観察を続けていた。
来院時は、右下腹部(骨盤部)の強い圧痛があり、ガードルやズボンを履くこともできず、
「一日中、何をしていても下腹部が痛い」と訴えていた。
身体は熱がりで、首から上に汗をかく(上熱)
腰から下は冷える(下寒)
偏頭痛あり
坐骨神経痛・こむら返り
疲れやすい
皮膚乾燥、口内炎
夜間尿1回
食欲はあるが、甘いものを食べると胃もたれ
軟便2~3回/日(細く長い便)
生理周期24~23日、生理痛やや強い
睡眠は浅く、何度も目が覚める
月経前2~3日〜初日に、こめかみや頭頂部がズキンズキンと痛む
舌診:淡紅、やや胖大、苔薄白膩
脈診:弦
H19.5.17 初診・煎じ薬開始
→ 1週間で夜中に目が覚めなくなり、便通も改善。
→ ただし、上半身の汗が多いため処方を微調整。
H19.6.22
→ 漢方を飲むと癒着の痛みが軽減。
薬を切らすと痛みが出るため継続。
H19.6.28
→ 多忙でも疲れず、便通も安定。
体調全体が上向く。
H19.9.6(約3ヶ月後)
→ 痛みが完全に消え、ガードルやズボンも履けるように。
→ 市民病院で検査したところ、子宮裏の偽嚢腫が完全に消失。
主治医から「もう来なくてよい」と言われる。
> 「誰に治してもらったの?」と医師に尋ねられ、
> その後、その先生から漢方治療の紹介が来るようになった。
その後、患者は「手の指のこわばりと関節痛」を訴えた。
第2関節と一部第1関節が腫れ、手首にも痛み。足の裏の骨も痛む。
両手足の掌・足底はポカポカと熱をもつ。
H19.9.21 処方を強化。
H19.10.4 痛み・こわばりが明らかに軽減。
以後、順調に経過している。
本症例は、帝王切開後の癒着性疾患に対し、
血流を改善し「癒着による気血の滞り」を解消する治療を行ったものである。
漢方では、こうした術後癒着を**「瘀血(おけつ)」と捉え、
血流をめぐらせることで癒着組織の縮小・吸収**を促す。
同時に、下腹部の冷えと上半身の熱(上熱下寒)を整えることで、
体全体の循環が改善し、結果として偽嚢腫の自然吸収が起こった。
その後現れた関節リウマチも、「瘀血」と「熱毒」を中心に治療し、
短期間で可動域・痛みともに改善した。
「何年もズボンが履けなかったのに、今は普通に動けます。
検査で“もう治っています”と言われて本当に驚きました。」
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脊柱管狭窄症の再発で痛みがあります。
62歳男性 167cm・57.7kg
脊柱管狭窄症で 2006年4月に手術、同年12月に再手術。
以降、以下の症状が持続:
左腰の強い痛み(体を動かすと悪化)
左下肢のビリビリしたしびれ
左手もしびれあり
息をすると痛む
足腰に力が入らず、ふらついて歩く
寝返りの際に足がつる(こむら返りが頻発)
頭重感、後頭部痛
耳鳴(2年前から、時に強くジンジン)
むくみ(両足)
冷たい飲み物を好む
不眠、夜間尿3回、排尿後の尿漏れ・残尿感
前立腺肥大あり
痔の既往(手術歴)、脱肛あり
便通1回/日だが残便感あり
日光過敏症
血圧150/90
舌診・脈診
舌:淡紅、やや胖大、苔黄膩
脈:臥位で弦無力数、座位で浮弦滑数
既往歴
腰椎椎間板ヘルニア
水俣病
高血圧(特に冬に悪化)
2007年7月6日(初診)
エキス剤を処方。
2007年7月13日
「少し良いが、もっと早く効く煎じ薬が欲しい」と希望。
2007年7月23日
煎じ薬に変更。
→ 痛みが軽減し、「大阪まで来てよかった」と笑顔で語った。
この症例は、脊柱管狭窄症の術後後遺症(腰痛・下肢のしびれ・こむら返り) に悩む患者であった。エキス剤では効果が乏しかったが、煎じ薬で痛みが速やかに軽減。
患者本人が「大阪まで行った甲斐があった」と喜ぶほどの改善が得られた。
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くも膜下出血の後遺症で話せません。
患者情報
41歳・女性
平成16年4月10日、クモ膜下出血(前交通動脈瘤破裂)を発症し、約2ヶ月間意識不明の状態が続きました。
その後、右上肢の不全麻痺、口頭浮腫のため気管切開を施行。
理解はできても言葉が出ない失語症があり、数字が苦手。
右手はつかめるものの、右半身に麻痺が残存。血圧150/100。
平成17年12月9日:漢方処方を開始
12月16日:体調は良好。日中の尿量が多い
平成18年1月17日:右手はゆっくり動かせる。歩行はほぼ普通だが、時々右足がつまずく
4月末:思ったことを言葉にできるようになり、物の名前もすぐに言える
5月25日:早口でスムーズに会話ができるまで回復
右半身麻痺は消失し、失語症も改善。日常生活を支障なく過ごせるまでに回復しました。
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喘息のステロイド治療で幻覚があります。
患者情報
91歳・女性
病歴と経過
若い頃から健康でしたが、ヘビースモーカーであったため、十数年前から肺気腫と喘息を発症。在宅酸素療法を行っていました。肺炎を起こし入院、抗生物質・ステロイド・アミノフィリンの持続点滴を開始しましたが、その後、幻覚や幻想が強くなり、夜間は一睡もせず暴れ、点滴を抜いてしまう状態になりました。付き添いの家族も疲弊し、「死んでもいいから家に帰りたい」と本人が希望され、在宅医療へ切り替えることになりました。
治療と結果
自宅で在宅酸素(2L/min)を使用し、漢方薬を1日3回、さらに寝る前に柴胡加竜骨牡蛎湯(2.5g)を服用。すると、肺炎も喘息も改善し、幻覚も消失、全く普通の生活に戻りました。
家族からは、「あの入院治療は何だったのでしょう。漢方でこんなに簡単によくなるなら、初めからしてほしかった。夜中にあんなに苦労する必要はなかったのに」と驚きの声がありました。
その後、本人は「見えないと好きな本が読めない」と、白内障の手術も受け、現在もお元気で婦人公論などを愛読されています。
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脳梗塞の後遺症が治りません。
患者情報
68歳・男性
病歴と経過
1989年12月3日、脳梗塞を発症。その後、入院と通院で2年4ヶ月にわたりリハビリを続けたものの、右上肢は動かず、車椅子での生活を余儀なくされました。通院にも疲れ、うつ状態となり、「もう死にたい。潮時だ。死なせてくれ」と暴れることもありました。好きだった外出もできず、楽しみも失い、在宅医療を2002年4月5日より開始しました。
治療開始と経過
2002年4月5日 漢方治療を開始
6月14日 夜間に「葬式の用意をしろ」と騒ぎ、兄や警察を呼ぶほど大変な状態に。処方に1剤を追加
7月12日 本人と妻より「右手・右上肢がよく動くようになりました。はじめて目も真っ白です。汗も減り、冷たい水も飲まなくなった」との報告。血圧も130/88に改善
2003年6月17日 右上肢をまっすぐ挙げられるようになる。処方に1剤を追加
その後の変化
7月22日、妻から「食べ物の名前を忘れる、同じことを繰り返す、失禁が続く、飲食でむせる、攻撃的な性格」との報告を受け、処方を変更。その後、暴れることもなく、おだやかになり、ひとりで歩行でき、食事も自立できるまで回復しました。