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胃痛が続いています。
35歳男性 175cm・92kg
2006年6月から、寝ている間を除いて1日中胃が絞られるように痛む
胃に鉛が入っているような重苦しさ
朝より夕方の方が痛みが強い
心下部が硬くなり、胃が張ると吐き気あり
酸水が上がることがある
横になると楽になる
風呂に入ると胃痛が出る
ゲップが多い(お茶や水分でも出る)
夕方に疲れやすい
昔から軟便~下痢傾向(1日2~3回)、硬便はほとんどなし
多夢あり
性格はせっかちで考え込むタイプ
辛いものが好き、冷たい飲み物やフルーツジュースをよく摂る
内視鏡・血液検査に異常なし
舌診・脈診
舌:淡紅、胖大、歯痕あり、苔白膩
脈:浮
8月31日(初診)
絞られるような強い胃痛が持続しており、実証に近いと判断。芍薬甘草湯を処方。
→ 2日目から胃痛が軽減し、ゲップも減少。食事も見直し、辛いものや冷たいものを控えるようになった。
9月14日(第3診)
冷たいものを摂ると胃痛や下痢が出ることに気づいた。安中散を加方。
仕事中のストレスで胃痛が出ることもあり、さらに変方。
9月21日(第4診)
症状はかなり改善。疲れやすさが残るため、気虚も考慮して処方を調整。
→ 3週間の服用で、すべての胃痛が消失。
「いろいろな病院に行きましたがダメでした。漢方は間違いなく効いています。驚くばかりです。嬉しいです。」
この症例は、冷えや食生活の影響(冷飲・辛味)とストレスによる肝気の不調が重なり、慢性的な胃痛を引き起こしていたと考えられます。漢方により痛みの速やかな改善と体質全体の調整が可能となった一例です。
胃もたれと吐気があります。
55歳女性 151cm・41kg
食後1時間してからの空腹感・腹鳴・胃の停滞感
翌朝または夜中に食べたものを嘔吐
横臥時の逆流感
2006年10月末より症状が出現。11月20日からは食後の嘔吐も始まり、日常生活が困難になった。体重減少・体力低下もあり、「何とかしてほしい」と来院。
A病院で胃内視鏡・胃透視・腹部エコーを受けたが異常なしと言われた。しかし診察では臍の左側に板状硬の腫瘤が触知され、十二指腸腫瘍や膵頭部癌が疑われた。
寒熱は普通だが、夏は冷房をつけて寝られる
食欲が細く、少量で満腹
時々口が苦い
ため息をよくつく
イボ痔あり
便通1回/日、尿は濃い
舌:淡紅、苔薄白膩、舌下瘀あり
脈:浮弦細
2006年12月8日:漢方治療を開始。同時にB病院外科に紹介し、精査・入院依頼。
12月中旬~手術直前:嘔吐・嘔気・反胃の症状は全くなくなり、むしろ食欲・体力が回復。
12月22日:手術実施。膵頭部側半切、胆嚢摘出、胃の四分の一切除、十二指腸摘出、小腸再建。
翌年2月13日:「十二指腸由来の未分化肉腫」と診断確定。
術後:大建中湯15gと前方を服用。3月6日からは前方のみ継続。現在は元気に活動しており、再発予防のため煎じ薬治療を開始予定。
一見「機能性胃腸症」のように見えた反胃症状が、実際には**十二指腸肉芽腫(未分化肉腫)**によるものであった症例。
漢方治療により、手術前にもかかわらず嘔吐や胃停滞感などの症状が消失し、体力が回復したことが特徴的である。術後も漢方薬を併用しながら良好な経過をたどっている。