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物忘れが悪化しています。
【症例】若年性認知症が改善した56歳女性のケース
患者情報
年齢:56歳
性別:女性
身長:145cm
体重:42kg
6年前、主人の転勤により、それまで主人に任せきりだった美容室の経営を一人で任されることに。
経営不振が続き、気分の落ち込みや自信喪失が始まりました。その後、次第に物忘れや判断力の低下が目立つようになりました。
同じ話を何度も繰り返す
お客様の注文を忘れる
テーブル上の物が取れない、置き場所がわからない
1日中ぼんやり過ごす
今日の日付がわからない
計算不能(100-7-7…もできず、電卓も使えない)
夜、寝ようとしても落ち着かず、何度も階段を上り下り
50歳で閉経
生活の様子
昔のことはよく覚えている
犬の散歩以外、1日中家にこもる
よく寝るが、日中も眠気が強い
身体所見
舌:淡紅・やや胖大、乾燥、苔白黄膩、舌下瘀血少
脈:弦、有力
治療開始:煎じ薬を1ヶ月服用
変化のポイント
- 今まで沈んでいたのに、娘さんに対して言い返す元気が出てきた
- 階段の上り下りを繰り返す落ち着きのなさが消失
- よく眠れるようになり、朝は早起きして掃除をする
娘さんの言葉:「1ヶ月で1年前の母に戻ったみたいです」
経験上、1年から2年で治癒が期待できると考えられます。
気分の改善、行動の安定が短期間で得られたことから、適切な漢方治療は若年性認知症にも有効な可能性があると示唆されます。
くも膜下出血の後遺症で話せません。
患者情報
41歳・女性
平成16年4月10日、クモ膜下出血(前交通動脈瘤破裂)を発症し、約2ヶ月間意識不明の状態が続きました。
その後、右上肢の不全麻痺、口頭浮腫のため気管切開を施行。
理解はできても言葉が出ない失語症があり、数字が苦手。
右手はつかめるものの、右半身に麻痺が残存。血圧150/100。
平成17年12月9日:漢方処方を開始
12月16日:体調は良好。日中の尿量が多い
平成18年1月17日:右手はゆっくり動かせる。歩行はほぼ普通だが、時々右足がつまずく
4月末:思ったことを言葉にできるようになり、物の名前もすぐに言える
5月25日:早口でスムーズに会話ができるまで回復
右半身麻痺は消失し、失語症も改善。日常生活を支障なく過ごせるまでに回復しました。
脳梗塞の後遺症が治りません。
患者情報
68歳・男性
病歴と経過
1989年12月3日、脳梗塞を発症。その後、入院と通院で2年4ヶ月にわたりリハビリを続けたものの、右上肢は動かず、車椅子での生活を余儀なくされました。通院にも疲れ、うつ状態となり、「もう死にたい。潮時だ。死なせてくれ」と暴れることもありました。好きだった外出もできず、楽しみも失い、在宅医療を2002年4月5日より開始しました。
治療開始と経過
2002年4月5日 漢方治療を開始
6月14日 夜間に「葬式の用意をしろ」と騒ぎ、兄や警察を呼ぶほど大変な状態に。処方に1剤を追加
7月12日 本人と妻より「右手・右上肢がよく動くようになりました。はじめて目も真っ白です。汗も減り、冷たい水も飲まなくなった」との報告。血圧も130/88に改善
2003年6月17日 右上肢をまっすぐ挙げられるようになる。処方に1剤を追加
その後の変化
7月22日、妻から「食べ物の名前を忘れる、同じことを繰り返す、失禁が続く、飲食でむせる、攻撃的な性格」との報告を受け、処方を変更。その後、暴れることもなく、おだやかになり、ひとりで歩行でき、食事も自立できるまで回復しました。