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アトピーの症例を教えて下さい。
【症例紹介】アトピー再発と軽い喘息のある13歳の女の子
患者情報
13歳 女性
身長161cm 体重49kg
初診日 2005年12月15日
◆ 発症の経過
生後3か月頃に中耳炎や耳切れを発症。
1歳7か月で水痘にかかった後、アトピー性皮膚炎が出現。
3歳頃には全身に広がるが、その後いったん治癒。
◆ 中学生になってからの症状
首や顔、肘にアトピーが時々出るようになる。
秋に散歩後、顔が赤く腫れ、それ以降はバスケットや水泳、急な運動後に顔や首が真っ赤に。
不登校の日も増えるが、進級のためのテストは受ける必要があった。
テスト期間になるとアトピーが悪化する傾向があった。
◆ 過去の治療歴
漢方治療を3か月受けたが改善せず、「皮膚科でかゆみを抑えてから来るように」と言われ中止。
その後、アレルギー対応の塗り薬と食事療法(魚や卵除去)を半年間続け、少しずつ改善。
しかし、最近またテスト期間に入りアトピーが再発し来院。
◆ その他の症状
軽い喘息(春や秋、運動後に約30分)
前頭部や頭頂部の頭痛、疲れやすい
食後に眠くなる、口渇があり冷たい飲み物を好む
甘いものや酸味で胃もたれ、胸やけあり
皮膚は前胸部から首、肩、上腕にかけて乾燥しアトピーも多発
肘や膝裏にアトピー(冬に悪化)
日光過敏症、朝起きにくい、月経は正常
車酔いしやすい
◆ 初診時の所見と治療経過
2005年12月15日
漢方エキス剤を組み合わせて処方。
3日後、膝裏はきれいになったが、顔や首、肘は悪化しヒリヒリ痛む。
皮膚はパリパリになり、赤く膨れ、透明な浸出液が出る。
アレグラは全く効果なし。
2005年12月27日
漢方に加え、ヒルロイドソフトとベナパスタを追加。
2006年1月13日
だいぶきれいになった。
2006年4月10日
夜は顔が白くきれいだが、朝起きると少し赤くなり、入浴後は真っ赤に。
夜に水分を多く取って寝ると、朝の顔のむくみが強いが、漢方薬で消失。
全身(手のひら以外)の皮膚が乾燥気味のため、処方を変更。
本人は「修学旅行に行ける」と喜ぶほど改善。
◆ 現在の様子
顔や首の赤みはコントロールできており、以前よりかなり良好。
修学旅行にも無事参加できる見込み。
この症例からのポイント
アトピーはストレス(特に試験)や運動などで悪化しやすい。
食生活や体質に合わせた治療が重要。
漢方治療で生活の質が大きく改善するケースがある。
アトピー性皮膚炎の症例を教えてください。
【症例紹介】夫婦で改善したアトピー性皮膚炎と主婦湿疹
◆ 患者情報
若い女性(平成17年9月21日 初診)
主訴:指の2本に赤くただれ、腫れ、強いかゆみ
アトピー性皮膚炎の悪化、または主婦湿疹の合併が疑われる
◆ 来院のきっかけ
「主人の転勤で大阪に来ました。東京で長く医者に掛かっていましたが、よくならず、ステロイドに頼りたくないので漢方治療を希望して、本を見て来ました。」
◆ 治療経過
初診から1週間後、ニコニコして再来院。
「こんなによくなりました。漢方薬を煎じなくても、こんなに少ない量のエキス剤(粉薬)で治るんですね。そういえば最近、疲れなくなり元気にもなりました。」
6週間で治癒。
◆ ご主人の症例
翌日の9月22日、ご主人が来院。
「妻が行きなさいと言うので来ました。あなたの飲んでいる補中益気湯は、先生によると合っていないかもよ、と言われまして…顔と体にアトピーがあって痒くて困っています。」
額や目の周りが赤く痒く、ステロイドを使用中。
入浴後や体が温まると、顔や前胸部のかゆみが特に強い。
皮膚は全体的にカサカサで乾燥。
◆ 治療の結果
10月24日には、顔も普通の状態に回復。
アルコールを飲んだ翌日は少し赤くなるが、それ以外は良好。
患者さんの言葉:
「体はきれいになったし、私は知らなかったのですが、夜寝ていてもボリボリうるさく搔いていたのがなくなり、妻もよく眠れるようになったと喜んでいます。」と笑顔で話されました。
◆ この症例からのポイント
・ステロイドに頼らず、漢方薬で改善できるケースがあります。
・体質を整えることで、かゆみや皮膚の乾燥だけでなく、疲れや睡眠の質も改善することがあります。