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かゆみが続き、薬で皮膚がごわごわです。
45歳男性 170cm・65kg
若い頃より喘息と右肘の軽いアトピーがあった。
昨年から症状が再燃し、首 → 腋 → 足・膝 → 全身 → 顔へと拡大。
夜間の激しいかゆみで眠れず、顔や手の皮膚はゴワつき、厚く硬くなっていた。
プロトピックスを3年間使用したが、改善どころか
「手・腕・首が象の皮膚のようにザラザラ、ゴワゴワになった」と訴える。
夜間のかゆみで不眠
汗をかくとかゆい(湿気でも乾燥でも悪化)
皮膚乾燥、ただし落屑は少ない
熱がりで手足に煩熱
胸やけ
食欲正常
便通1回/日
松茸アレルギーあり
舌・脈所見:未記載(おそらく血熱・湿熱型を主体とした証)
2007年6月19日
エキス剤で治療を開始。
6月28日
服用翌日から著効あり。
顔の赤みが引き、腕・顔の皮膚がツルツルに。
ファンデーションが不要になるほど改善。
しかし6月22日、屋外作業後に再び悪化。
顔と目が腫れ、かゆみが再燃。
処方を変更。
8月17日
真夏でもかゆみが軽く、良好な経過を維持。
「汗をかいてもたいしたことはない」と話す。
ただし、仕事で多忙になり体が熱っぽくなると少しかゆくなる。
治療開始から短期間で皮膚の状態が改善。
悪化のきっかけは「発汗・精神的ストレス・刺激食品」。
根本的に体内の湿熱と気滞・肝鬱を調整することで、
症状が安定した。
チョコレート(チップ入りケーキも含む)
ポテトチップスなどスナック菓子
エビ・カニ(海老せんべいも)
一夜干しの魚など乾物
カレーライス
キムチ・七味唐辛子・胡椒など辛味
怒りやイライラなど強いストレス
暑い場所・または極端な冷え
サルコイドーシスと診断されました。
61歳女性 145cm・50kg
左脳梗塞(8年前、治癒)
子宮筋腫(3~5個)
高血圧・アレルギー治療中
閉経:52歳
脊柱管狭窄症(3年前より)
両坐骨神経痛
足首の痛み(秋~冬に悪化)
足底の氷のような冷感としびれ
朝、起き上がろうとすると激痛 → 歩行困難、つたい歩きが必要
階段昇降でしびれが悪化し、足の上方へ広がる
眼の症状(2007年夏以降)
右目:もやがかかり視力低下、文字や人の顔が見えにくい
黒い飛蚊症
眼圧上昇
後に サルコイドーシス・右眼後部ブドウ膜炎 と診断
西洋医学的には治療法なしとされた
その他の症状
頬に紅潮
肩・後頚部のこり
手・手首、下腿のむくみ(夕方悪化)
口唇乾燥、口内炎
便秘(コロコロ便)
夜間尿4~5回
不眠
舌診・脈診
舌:淡紅、苔白黄
脈:弦・有力
2007年3月2日(初診)
エキス剤処方。
2007年3月9日
服用していたヨーデル(鎮痛薬)4錠が不要に
足裏・下腿のしびれが軽減
血流改善薬や昼の鎮痛剤を中止
夜間尿:5~6回 → 2~3回へ改善
2007年4月6日
脊柱管狭窄症による歩行困難が改善
つたい歩き不要に
2007年7月
右目の視力低下、飛蚊症、眼圧上昇
内科で サルコイドーシス・右後部ブドウ膜炎 と診断
「治療法はない」と説明される
2007年8月3日(漢方処方変更)
昼・夕に煎じ薬を服用
翌朝「えっ?」と驚くほど急速に改善
若返ったように視力が回復し、右目も左目もよく見えるようになった
脊柱管狭窄症の再発で痛みがあります。
62歳男性 167cm・57.7kg
脊柱管狭窄症で 2006年4月に手術、同年12月に再手術。
以降、以下の症状が持続:
左腰の強い痛み(体を動かすと悪化)
左下肢のビリビリしたしびれ
左手もしびれあり
息をすると痛む
足腰に力が入らず、ふらついて歩く
寝返りの際に足がつる(こむら返りが頻発)
頭重感、後頭部痛
耳鳴(2年前から、時に強くジンジン)
むくみ(両足)
冷たい飲み物を好む
不眠、夜間尿3回、排尿後の尿漏れ・残尿感
前立腺肥大あり
痔の既往(手術歴)、脱肛あり
便通1回/日だが残便感あり
日光過敏症
血圧150/90
舌診・脈診
舌:淡紅、やや胖大、苔黄膩
脈:臥位で弦無力数、座位で浮弦滑数
既往歴
腰椎椎間板ヘルニア
水俣病
高血圧(特に冬に悪化)
2007年7月6日(初診)
エキス剤を処方。
2007年7月13日
「少し良いが、もっと早く効く煎じ薬が欲しい」と希望。
2007年7月23日
煎じ薬に変更。
→ 痛みが軽減し、「大阪まで来てよかった」と笑顔で語った。
この症例は、脊柱管狭窄症の術後後遺症(腰痛・下肢のしびれ・こむら返り) に悩む患者であった。エキス剤では効果が乏しかったが、煎じ薬で痛みが速やかに軽減。
患者本人が「大阪まで行った甲斐があった」と喜ぶほどの改善が得られた。
胃痛が続いています。
35歳男性 175cm・92kg
2006年6月から、寝ている間を除いて1日中胃が絞られるように痛む
胃に鉛が入っているような重苦しさ
朝より夕方の方が痛みが強い
心下部が硬くなり、胃が張ると吐き気あり
酸水が上がることがある
横になると楽になる
風呂に入ると胃痛が出る
ゲップが多い(お茶や水分でも出る)
夕方に疲れやすい
昔から軟便~下痢傾向(1日2~3回)、硬便はほとんどなし
多夢あり
性格はせっかちで考え込むタイプ
辛いものが好き、冷たい飲み物やフルーツジュースをよく摂る
内視鏡・血液検査に異常なし
舌診・脈診
舌:淡紅、胖大、歯痕あり、苔白膩
脈:浮
8月31日(初診)
絞られるような強い胃痛が持続しており、実証に近いと判断。芍薬甘草湯を処方。
→ 2日目から胃痛が軽減し、ゲップも減少。食事も見直し、辛いものや冷たいものを控えるようになった。
9月14日(第3診)
冷たいものを摂ると胃痛や下痢が出ることに気づいた。安中散を加方。
仕事中のストレスで胃痛が出ることもあり、さらに変方。
9月21日(第4診)
症状はかなり改善。疲れやすさが残るため、気虚も考慮して処方を調整。
→ 3週間の服用で、すべての胃痛が消失。
「いろいろな病院に行きましたがダメでした。漢方は間違いなく効いています。驚くばかりです。嬉しいです。」
この症例は、冷えや食生活の影響(冷飲・辛味)とストレスによる肝気の不調が重なり、慢性的な胃痛を引き起こしていたと考えられます。漢方により痛みの速やかな改善と体質全体の調整が可能となった一例です。
胃もたれと吐気があります。
55歳女性 151cm・41kg
食後1時間してからの空腹感・腹鳴・胃の停滞感
翌朝または夜中に食べたものを嘔吐
横臥時の逆流感
2006年10月末より症状が出現。11月20日からは食後の嘔吐も始まり、日常生活が困難になった。体重減少・体力低下もあり、「何とかしてほしい」と来院。
A病院で胃内視鏡・胃透視・腹部エコーを受けたが異常なしと言われた。しかし診察では臍の左側に板状硬の腫瘤が触知され、十二指腸腫瘍や膵頭部癌が疑われた。
寒熱は普通だが、夏は冷房をつけて寝られる
食欲が細く、少量で満腹
時々口が苦い
ため息をよくつく
イボ痔あり
便通1回/日、尿は濃い
舌:淡紅、苔薄白膩、舌下瘀あり
脈:浮弦細
2006年12月8日:漢方治療を開始。同時にB病院外科に紹介し、精査・入院依頼。
12月中旬~手術直前:嘔吐・嘔気・反胃の症状は全くなくなり、むしろ食欲・体力が回復。
12月22日:手術実施。膵頭部側半切、胆嚢摘出、胃の四分の一切除、十二指腸摘出、小腸再建。
翌年2月13日:「十二指腸由来の未分化肉腫」と診断確定。
術後:大建中湯15gと前方を服用。3月6日からは前方のみ継続。現在は元気に活動しており、再発予防のため煎じ薬治療を開始予定。
一見「機能性胃腸症」のように見えた反胃症状が、実際には**十二指腸肉芽腫(未分化肉腫)**によるものであった症例。
漢方治療により、手術前にもかかわらず嘔吐や胃停滞感などの症状が消失し、体力が回復したことが特徴的である。術後も漢方薬を併用しながら良好な経過をたどっている。