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中医学では皮膚の病気にどのようなアプローチをしますか?
かゆくて困っている、手や顔などに皮疹が出て憂鬱である、夜痒くて寝られないなどさまざまな悩みを抱えて来院される人が増えています。
中には瘙痒症・アトピー・乾癬・汗疹・原因不明の難治性皮膚病などいろいろですが、はじめのうちは、少し痒みは残りますが、少しずつよくなっていきます。
長くかかって作った病気は、まず痒みや赤味などを治し、次に再発をしないよう少しずつ原因を治してゆくことが多いので、時間がかかることになりますが、かなり効果のよい中成薬を早めに取り入れることで大分楽になっています。また、漢方薬をその人の体質にあわせて処方しても、体内にはまだ未知の体質が隠れていて個人差があるために、少しずつ処方の組み立てを変更することもあります。お互いにじっくりと取り組む覚悟で来てください。
物忘れが悪化しています。
【症例】若年性認知症が改善した56歳女性のケース
患者情報
年齢:56歳
性別:女性
身長:145cm
体重:42kg
6年前、主人の転勤により、それまで主人に任せきりだった美容室の経営を一人で任されることに。
経営不振が続き、気分の落ち込みや自信喪失が始まりました。その後、次第に物忘れや判断力の低下が目立つようになりました。
同じ話を何度も繰り返す
お客様の注文を忘れる
テーブル上の物が取れない、置き場所がわからない
1日中ぼんやり過ごす
今日の日付がわからない
計算不能(100-7-7…もできず、電卓も使えない)
夜、寝ようとしても落ち着かず、何度も階段を上り下り
50歳で閉経
生活の様子
昔のことはよく覚えている
犬の散歩以外、1日中家にこもる
よく寝るが、日中も眠気が強い
身体所見
舌:淡紅・やや胖大、乾燥、苔白黄膩、舌下瘀血少
脈:弦、有力
治療開始:煎じ薬を1ヶ月服用
変化のポイント
- 今まで沈んでいたのに、娘さんに対して言い返す元気が出てきた
- 階段の上り下りを繰り返す落ち着きのなさが消失
- よく眠れるようになり、朝は早起きして掃除をする
娘さんの言葉:「1ヶ月で1年前の母に戻ったみたいです」
経験上、1年から2年で治癒が期待できると考えられます。
気分の改善、行動の安定が短期間で得られたことから、適切な漢方治療は若年性認知症にも有効な可能性があると示唆されます。
パニック障害で体が痛みます。
【症例紹介】パニック障害で全身の痛みとしびれに悩んだ38歳男性、漢方で回復
患者情報
年齢:38歳
性別:男性
身長:163cm
体重:62kg
2年半前にパニック障害を発症。1年前には過剰適応による心身障害と診断され、心療内科で治療を受けていましたが、改善はわずかで、次のような重い症状に悩まされていました。
こめかみ・後頭部~首・肩の激しい痛み
朝、手足のしびれで起きるのに30~60分かかる
全身の筋肉痛のような痛み、吐き気、目のかすみ
頭が重く、のぼせ、動悸、不眠
ストレスで下痢(1日5~6回、2年前から続く)
蕁麻疹(手足にでき、かくとミミズ腫れ)
舌:紅、苔白黄膩
脈:浮
体質の特徴
熱がり、掌が温かい
汗をかきやすい
食欲は少なめで食後に腹が張る
口渇(少しずつ何回も水分を取る)
H18.5.18 漢方エキス剤を処方
5月22日までに
- 下痢が3日で改善
- 朝も起きられ、仕事に復帰できた
- 睡眠も取れるようになった
H18.6.8
- 「体の痛みがガチガチだったのが普通になった」
- 朝のしびれもなく、普通に歩ける
- 体力がかなり回復
- ただし、尿の勢いが弱い、汗でかゆみが出る貨幣状湿疹あり → 掌蹠膿疱症に対応する処方を追加
H18.9月
- 「ほとんど普通の状態になり、元気で自信も出てきた」
- 処方を減量しても調子が良い
来院時は「全身の痛みとしびれで朝起きられず、仕事もできない」状態でしたが、数日で下痢と体調が改善し、1ヶ月で体のこわばりが取れ、3ヶ月後には元気に生活できるまで回復しました。
重症筋無力症の治療法はありますか。
【症例紹介】重症筋無力症で家事もできなかった49歳女性、漢方で驚きの回復
患者情報
49歳・女性
身長155cm・体重54kg
10年前に重症筋無力症(全身型)を発症し、阪大で胸腺全摘を受けました。
その後、2年半前から東洋医学科で治療を受けていましたが、改善が見られず限界を感じ、インターネットで当院を知り来院されました。
主な症状
手足・肩の強い冷え(夏でもカイロ6個、冬は15個使用)
筋肉痛、手足のだるさで家事はほとんどできない
掃除・洗い物・料理で手が張って筋肉痛になり、1時間続けられない
夜は筋肉のうずきで眠れない
1~1.5時間立つと両大腿部が痛くなり、さらに両足底部が筋肉痛
強い疲れやすさ、むくみ、腰痛
夜間尿3~4回、便秘(2~3日に1回硬い便)
ドライアイ(1日3回点眼)、口渇、夜中に口が乾燥して目が覚める
舌:淡紅、歯痕、胖大、苔薄白
脈:浮・弦・消・有力
平成18年3月27日:煎じ薬を開始
4月3日:服用4日目で「信じられないくらい調子がよい。朝すっと起きられる。味覚が戻り、食事がおいしい。目の乾きも楽。手足のむくみ軽減。体の動きがスムーズ」
5月22日:身体は楽になってきたが、疲れると胸苦しさあり。煎じ薬の服用回数を1日3回に分けるとさらに楽に
6月8日:煎じ薬を変更 → 翌朝から上半身が軽くなり、胸苦しさが消えた。「10年ぶりに元気なときを思い出した」と患者様も驚き
- 箸を使って炊事ができるように
- 長時間字を書いても痛くない
- 会話もスムーズで、しゃべりやすく、口の疲れなし
7月10日:
- 膝下の冷え予防サポーターが不要に
- 腕の付け根のカイロも半減
- 上肢・下肢ともに動きが楽に
- クーラーを朝までかけても風邪をひかず、快適に眠れる
来院時は「少し動くだけで胸も手足も苦しく、これからどうなるのか不安」と話していましたが、今では普通の人のように動けるまでに回復し、周囲の人も本人も驚いています。
中医学の治療は時間がかかるのでしょうか?
「中医学は治るのが遅い」そう思っている方が多いのではないでしょうか。
確かに、長い年月をかけて悪化した慢性の病気は、正しい治療をしても少しずつ改善していくことが多いです。
しかし、ある特定の原因で起きた病気の場合、その原因を治療すると、たとえ発症から長期間経っていても、驚くほど短期間で改善が始まることがあります。
当院では、まず詳しい問診と診察で、病気の原因や体の状態を見極めます。
そこから治療方針を組み立て、漢方薬を処方します。
次回の来院時に「どの程度効果があったのか」「問題点は何か」を見て、処方を変更するか継続するかを判断します。
この繰り返しで、体調も病気も少しずつ改善していきます。
例えば、潰瘍性大腸炎の全大腸型は改善が非常にゆっくりで、最初のうちは良くなっているのが実感できないことがあります。
でも、3~6ヶ月経つとはっきり変化がわかります。
患者様が「結果がすぐ見えないと不安」というお気持ちはよくわかりますが、ここが我慢のしどころです。
潰瘍性大腸炎の患者様で「調子がいいから」と食べ過ぎたり、以下の食品で悪化してしまう例も少なくありません。
悪化しやすい食べ物
チョコレート
アイスクリーム
スナック菓子
お好み焼き・たこ焼き
カレーライス
牛乳・乳製品
アルコール
皮膚のかゆみがある方は、台所・トイレ・ガラス用などの合成洗剤を使わないこと。
手袋をしていても、石油化学系洗剤は皮膚に浸透してしまい、炎症を悪化させます。
洗剤は普通の石鹸にしてください。
また、以下の食べ物も避けましょう。
チョコレート
香辛料(キムチ・七味唐辛子・カレーなど)
アルコール
スナック菓子
海老・カニ・エビ煎餅など
こうした食事制限と、漢方薬、保湿剤、抗ヒスタミンの塗り薬を併用すれば、ステロイドを使わなくても改善できます。